TOPICS 連載.modeler’s EYE
技術のチカラで驚きを。格の違いを見せつける。 株式会社入曽精密
MC造形の実力を世に知らしめる
人工衛星やF1の部品などの精密加工を請け負う中、斎藤氏はある思いを抱えていた。 『MC(マシニングセンタ)造形のことを、きちんと知ってほしい。「この程度のサイズしかできないよね。」と妥協して設計されたら革新的な製品は生まれない。それでは困る。MCはもっとできる。』と、技術の見える化への取り組みを始めた。最初に発表したのはアルミのバラだった。塊の金属から独自の加工技術『一刀彫り』でバラを削りだす。凄い技術だ。しかし『アルミ部品の接着品』と勘違いされ、足を止める人は少なかった。凄い技術も分かりやすくなければ正しく伝わらない。その後、『世界一のサイコロ:元』の作製に着手。MC造形技術でできる、極小加工の究極を世に見せつけるためだ。

驚きを生むのは真の技術のチカラ
しかし、目標達成は容易ではなかった。 まずは道具。市販の0.1mm径エンドミルよりも小さい、研究開発品の0.06mm径エンドミルを入手。サイコロサイズも0.06mm径エンドミルでの加工最小サイズ、0.3mmに決めた。 当時、0.1mm径エンドミルを扱う技術すら世のどこにもなかった。レーザーでも刃先の正確な位置出しができず
、刃が折れてしまうのだ。でも原因はレーザーの性能不足。普通はそこで諦めるところだが、斎藤氏は違った。
『ないならつくればいい』。なんと、刃先位置の測定システムを自社で開発したのだ。理由はシンプル。『必要だから』。
『世界最小のサイコロ:元』 というインパクトのある製品は、技術者の思いと、真の技術のチカラが込められているからこそ、ここまでインパクトを持ち、見た人に驚きを与えることが出来るのだ。

確かな技術力に裏打ちされた、見た人に驚きをを与えるアウトプットを出すことこそ、『技術の見える化』において重要なのだと感じた。しかし現在の我々にはまだその力は足りない。適切な題材を選び、目標に向けて工夫を重ね、真の技術力を身につけていかねばならない。