人に代わってロボットが行うおもてなしとは

おもてなしロボットを研究している松日楽氏に聞く

Face to Faceを心がけている

ロボットのおもてなしもFace to Faceが基本だと考えている。人はアイコンタクトでロボットの感情を読み取ろうとするし、ロボットが相手でも耳がある位置に話しかけ、口にあたる部分から話していると思い込む。また、相槌を入れることでもコミュニケーションはスムーズになる。意匠は非常に重要な要素で、タブレットだと誰もアンケートには答えないが、ロボットの形をしていると興味を引きアンケートに答えてもらえる。実証実験での気づきは多く、老人であれば細かい制御を入れても気づいてもらえず、聞き取りやすい声で耳元に向かって話す必要があるなどユーザーの特性に合わせたおもてなしが必要である。これらのロボットを開発する際にアドバイスを頂いたおもてなしの先生

は対面だけがサービスとは限らない後ろにいるお客様の事も考えてもてなす必要があるとおっしゃっており、ロボットが行うおもてなしも同様に周りの空間や施設全体の中での共存を意識しないと、全体でのサービスの質は上がらないと思う。例えば声が聞きとりにくいからといって単純に大きくしては他のお客様の迷惑にもなる。また市役所などの施設では休みのない均一なサービスを求められるが、信頼性やバッテリー、メンテナンスの問題など課題は多い。しかし、ロボットのニーズは高く、人の苦手な部分や負担を軽減するといったロボットならではのおもてなしサービスの提供という部分から徐々に普及して行くと思われる。今後はより本来のおもてなしに近い領域の個人の特徴、感性、感情、嗜好を加味した、おもてなしロボットのサービスについても研究していく。

写真:上、左下、実証実験の様子。
写真:右下、空間での人の動きを認識し、丁度よいタイミングで声掛けするロボット。声かけのタイミングがずれるだけでも、気付いてもらえない、間が悪く驚かれるなどという問題があり、コミュニケーションがうまくいかない。

ロボットや機械が行うおもてなしは人との共存が重要である。まずは限られた条件でユーザーに必要なサービスを提供し、施設や空間も含めたサービス全体の一部になるように設計する必要がある。人や環境が変わるとうれしさも変わるので、実証実験で価値を確認し、うれしいサービスに成長させていかなければならない。また、意匠は重要な要素で機能を考慮して目的に合った作りこみを行う事が大事である。