利用者に寄り添う公共トイレのおもてなし
「おもてなし」の空間を手がけるプロフェッショナルに聞く

設計事務所ゴンドラによる大丸東京店のトイレ。 都会の喧騒の中からポッと抜け出した静寂と開放感は雲の上に出たような感覚で、日常の慌ただしさを忘れられる。
パーソナルな小空間で
人はどのようにありたいか
トイレは公共の空間でありながら、ひとりになることができる、ある意味特殊な空間だ。学校や仕事場、街中、旅行先などで少しの時間だけ一人っきりになるとき、人はどんな気持ちで過ごしたいだろうか?また、その空間から出たときにどんな気持ちになっていたいだろうか? それぞれの場合にあわせて利用者の気持ちに寄り添った提案をすることがパブリックトイレにおける「おもてなし」であり、より深い満足につながるということに気づくことができた。
今回、公共のトイレ空間をデザインした2人のデザイナー・設計者の方にお話を伺った。トイレの空間において、トイレとして必要な基本機能が網羅されており、また良い状態が維持できる運営の仕組みが整っていることが満たすべき重要なポイントである。 その上で、利用者がトイレを使う前後でどのような気持ちになってもらいたいかを考え、利用者層に寄り添い、インテリアによってまた使いたくなるようなその場所ならではの嬉しさを形にする。お二人のお話から、それこそが公共トイレにおけるおもてなしの工夫であると知ることができた。
トイレの基本機能や管理の仕組みを備えた上で、利用者にとって嬉しい空間にするための工夫がトイレに設置されるシャワートイレにも求められると感じた。プロダクトデザインのプロセスでは、トイレを利用するその瞬間にばかり注目してしまいがちになるが、利用する前後を含めた利用者の気持ちにどのようにアプローチするかにも着目し、提案をしていくことが必要になってくるのではないだろうか。