利用者に寄り添う公共トイレのおもてなし

「おもてなし」の空間を手がけるプロフェッショナルに聞く

何がそのトイレの”良さ”となるかはその時々のシーンで変わってくる。「様々な人、年齢、性別、それぞれの人が満足できて、選んでもらえるトイレを作りたい」と小林氏は語る。

男子トイレ・女子トイレに区別されない場所に子供用の便器・ブースがあり、性別に関わらず親子が安心してトイレを利用しやすいように工夫されている。 施設の利用者層の特徴を考慮した配慮が優しい。

郊外の大型ショッピングモール”カラフルタウン岐阜”のトイレでは、ショッピングやイベントに訪れた親子連れに嬉しいトイレとし、お城や馬車をモチーフにしたインテリアや、車の形をした子供用個室によって子供が楽しく過ごせ、親もその様子を眺めながらホッと一息付けるような仕立てになっている。

車の形をした子供用ブース。便器の後ろにはベンチがあり、「親をのせて車を運転」する気分が味わえる。

良いトイレを長く維持するために

空間や設備の作りこみだけでなく、それを維持・管理しつづけられることも公共トイレの重要なポイントだ。同社では企画の初期段階からそのトイレの管理や清掃を行う運営者と連携し、管理方法についてもアドバイスしながら設計に取り組んでいる。 トイレは他の空間に比べて汚れやすく、特に野外のトイレなどでは高い耐久性が要求される。よい状態を長く維持できないと、利用者の満足にもつなげられない。 「建築士がトイレの『生みの親』だとすると、それを清掃・管理運営していく人達が『育ての親』です。まずは育ての親がどういう人なのか知らないといけません。」という言葉が印象的だった。