観光客と島民双方に最適な移動を届ける、日間賀島の観光型MaaS実証実験
観光客だけでなく、島民にもうれしい移動サービスとは?
地域に根差した移動サービスに
向けて
自動運転は実証実験の段階で課題も多い。1番は地域住民と企業の協力体制の構築だ。今回の実験を実施するにあたり、企業側と島民側は何度も協議を重ねてきた。
さらに実証実験が決まった後も、年末に回覧版を入れて自動運転バスが走ることを告知したり、実験日には毎朝ラジオで自動運転バスが走る際、追い抜かないことや、なるべくバスと反対方向で島をまわるよう告知するなど住民に対して常に声掛けを実施してきた。
島ならではの課題として、道路の急勾配や凹凸の激しさもある。これにより、自動運転で走るとスピードの加減速や傾きの制御が難しい。
また、島内の高齢化や子供連れの観光客に対し、乗降性向上や車内事故防止の観点が重要


になる。一方で日間賀島は、夜間に高齢者が歩いていたらクルマから声をかけ相乗りを促すなど、移動をきっかけとしたコミュニケーションと助け合いが良い文化として根付いている。自動運転車が増えることで、そのような行為が減ってしまうという危惧もある。移動サービスを考える上で、利便性の追求だけでなく、人と人がつながる場(インタフェース)という大きな視野を持ったとき、新たな課題やアイデアが生まれるのではないだろうか。

高齢者や子どもの乗降性向上と車内事故防止技術は、日間賀島に限らず自動運転の観光型MaaSには不可欠だ。さらに移動サービスを地域のコミュニケーションを活性化する場と捉えることが、サスティナブルなサービスを考えるうえで今後重要になる