おもてなしの心×正しい介助技術

介助でのおもてなしを知るためにサービス介助士資格を取得

これくらいできるでしょ、の落とし穴

事前のテキストによる学習で、高齢者や障がい者への理解を深め介助の概要を学んでから教習に向かったが、実習最初の「高齢者疑似体験」で大きな衝撃を受けた。 高齢者疑似体験は関節を曲がりにくくするサポーターや、手袋、足首手首への重り、耳栓、白内障ゴーグルを装着し一時間近く街の中へ出るというもの。 まず、最初に会場のビルを出たところでつまづく。長い階段は手すりがあるが、ビルの前にある三段程度の階段には手すりがな

く下りるのが恐ろしいのだ。少ない段差なので白内障ゴーグルをしていると気づきにくく、すがるところもないので不安定になる。 駅では普段わかりやすいと思っていた路線図を見渡すことができず、色の見わけもつかなかった。健常者視点での「これくらいできるでしょ」が大きな壁となって立ちはだかる。 コンビニエンスストアでの商品購入体験でも、商品がよく見えないのでカロリーや栄養のことまで思い至らない。「何でもいいや」と手についたものを選ぶことになった。 表示の見難さが大きなQOL(クオリティオブライフ)の低下を招くのだ。

待つことだけでもおもてなし

レジで小銭を取り出そうとすると、視界が悪く細かい作業ができないので後ろの人を待たせるのが申し訳なく、あきらめてお札で払うことになる。「高齢者のお財布はパンパン」というのをリアルに体験することができた。 そんな中、コンビニの店員が「大変そうですね。ゆっくりどうぞ」と声をかけてくれ、とても嬉しく感じた。ユーザーには色々なペースがあるということを把握し、ただ待つ、声をかけるというだけで、大きなおもてなしになるということを学んだ。