直観的な理解を促すサイン計画のおもてなし

サイン計画デザインの第一人者である株式会社アイ・デザインに聞く

無駄をそぎ落として直観的に伝える

1964年の東京オリンピックの頃に羽田空港、伊丹空港などのサインの計画、ピクトグラムのデザインを行ったのが始まりで、それ以降地道にデザインを続けている。成田空港の第3ターミナルはLCC(Low Cost Carrier)専用で建築家と一緒にローコストを徹底してサイン計画を行った。文字によるサインは極力減らし、直観的に理解できるピクトグラムを表示する工夫を行った。床面のトラック模様はターミナルまで630mの距離を歩く必要があるため楽しみながら歩いてもらう為の工夫。人は床にトラック模様があるだけでその上を自然と歩く。今までのサイン計画は交差点毎に判断させる案内だったがこれからはアフォーダンスで誘導するものが増えていく。従来の内照式吊下サインをやめてエキスパンドメタルの梁にメッシュ状のターポリン素材を貼り付けたサインを作成。照明も事前に計画を行いサインと位置が合うように調整することにより、低コストでも視認性の良いサイ

ンを作り上げた。

エキスパンドメタルの梁にターポリン素材のサイン

トイレのピクトグラムは形と色だけで多くの人が理解できるので文字は省いた。ピクトグラムの折り曲げは奥に続く空間を暗示させるための工夫。また、入口から奥の素材をガルバリウムにして質感でも空間の違いを感じるようにしている。

ピクトグラムを折り曲げる事で奥へ誘導するデザイン

分岐エリアでは空間を一部黒色に色を分ける工夫をしている。

空間の色分けで分岐を伝える
一時期、公共のサインは多言語化したが最近は2か国語または言語レスにシフトしている。サインに沢山表示するよりも手元の端末で対応する流れになってきている。色についても沢山色分けしても意味合いが理解できないので減らす方向で整理しなおしている。完成度の高いサイン計画を行う為には建築設計の段階から人の動線と一緒に計画を立てることが重要。また実際に現場に赴き、現地現物で確認を行いデザインを詰めて行く必要がある。