連載.Creative recreation
岐阜「関鍛冶伝承館」
魂を込めるからできる
人を魅了する美しい姿
刀の原料である「玉鋼」は表面がごつごつした只の砂鉄にしか過ぎない。しかし、白銀師、研師、柄巻師、鞘師などの技能士が各工程で最高傑作への思いを込めて叩き、磨き上げる事で美しい姿に変貌する。作品を見るだけで仕事への精密さが伝わり、その洗練された無駄の無い形状に勢いを感じ、人を寄せ付けない凄みと美しいオーラを纏い魅了される。製品づくりも同様に作り手の思いが伝わってカタチに現れる。「いいモノをつくる」そんな思いを込めた作り込みが高品質を生み出す。何の変哲も無いアイデアの原石も各工程の専門家が手を加え繰り返し鍛錬する事で想像を超えた、人に感想を与える製品に生まれ変わるのだと感じた。

日本刀の厳しいつくりには関わる者の「強い思い(念)」が込められている。鋼を鍛錬すると同時に自身の心も鍛錬し、妥協しない魂がある。この思いが出来映えを左右する。優れたモノづくりには、各工程で技術者が強い思いで最高の仕事をする、この事の重要さを実感した。